アミノ酸 タンパク質

タンパク質とアミノ酸の関係と違い

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タンパク質とは・・・

(英)プロテインprotein

(ギリシャ)Proteios(“第一の”に由来)

※生体の構成単位として、また代謝物質として

第一に重要な物質として命名された。

 

タンパク質は全身の細胞を構成する

皮膚・筋肉・臓器・頭髪から爪先までの

諸機関の主材料。

 

血管や血液、生理活性物質であるホルモン、

免疫抗体etcもタンパク質でできている。

 

カラダの約60%が水分

カラダの約15~20%がタンパク質である。

 

例えば、

体重50㎏の成人の場合

体内に約7.5~10㎏のタンパク質

存在していることになる。

 

タンパク質は、細胞構成分子であり、

同時にさまざまな生命現象の

中心的役割を果たす。

 

生体内の化学反応の触媒となる

酵素の本体としての機能を持ち、

各種細胞の機能面でも

主要な役割を担っている。

 

食物から摂取したタンパク質

アミノ酸やペプチド(アミノ酸がつながった

化合物)に分解されて体内に取り込まれ、

必要なタンパク質として再形成される。

 

タンパク質の消化・吸収・輸送(調節)

タンパク質食品を摂取すると、

胃酸によって三次構造が破壊され(変性)、

プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)が

作用しやすい状態になる。

 

胃粘膜から分泌されるペプシン作用を受け

ポリペプチドであるペプトン

加水分解される。

 

部分的に加水分解された

タンパク質(ポリペプチド鎖)

十二指腸まで送られると、

膵液(すいえき)や胆汁が食物に混じり

胃酸によって酸性化されていた食物は

膵液に含まれる重曹によって中和される。

 

中性化で働くタンパク質分解酵素である

膵液中のトリプシン・キモトリプシン・

エラスターゼ・カルボキシペプチダーゼ・

腸液内のアミノペプシターゼなどによって

消化される。

 

回腸から空腸へと進む間に

ポリペプチド・ジペプチド・遊離アミノ酸

などに分解される。

 

これらは小腸上皮粘膜でATP依存の

能動輸送によって吸収される。

 

一部はアミノ酸が2~6個結合した状態で

吸収されることもある。

 

吸収されたアミノ酸は、

小腸の内側にある絨毛の

ひだの中にある毛細血管に入り、

門脈を通って肝臓へ運ばれる。

 

タンパク質の構成要素のアミノ酸

 

タンパク質は多種類のアミノ酸

さまざまな形で結合した

高分子窒素化合物である。

 

自然界には多種のアミノ酸が存在するが、

人体を構成するのは

20種類アミノ酸に限られる。

 

人体は20種類のアミノ酸分子

十数個から数百個以上

複雑に組み合わさって作られた

目的の異なる約10万種類のタンパク質から

成り立っている。

 

髪・皮膚・筋肉などは

それぞれ形状が異なる。

それは、

構成するアミノ酸の組み合わせが

違っているからである。

 

近年、アミノ酸は研究が進み

アミノ酸の個性と働きが

解明されつつある。

 

必須アミノ酸と非必須アミノ酸

人体のタンパク質を構成するアミノ酸は、

必須アミノ酸非必須アミノ酸の2つある。

 

◆必須アミノ酸(9種類)◆

イソロイシン・トリプトファン・

スレオニン(トレオニン)・バリン・

ヒスチジン・フェニルアラニン・

メチオニン・リジン(リシン)・ロイシン

ヒトの体内で合成することができないため、

必要量を食品から摂取しなければならない。

 

◆非必須アミノ酸(11種類)◆

アスパラギン・アスパラギン酸・

アラニン・アルギニン(小児では必須アミノ酸)・

グリシン・グルタミン・

グルタミン酸(準必須アミノ酸)・

システイン・セリン・チロシン

ヒトの体内で他のアミノ酸・脂肪・糖などを

利用して合成できるもの。

 

【アミノ酸の分類】

アミノ酸は、その特徴によって

いくつかの分類がある。

 

●側鎖の構成による分類

分岐鎖アミノ酸、芳香族アミノ酸、含硫アミノ酸

酸性アミノ酸、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸

 

●代謝産物による分類

糖原性アミノ酸、ケト原生アミノ酸

 

●その他

疎水性アミノ酸、親水性アミノ酸

必須アミノ酸、非必須アミノ酸

 

身体のタンパク質を構成する

20種類のアミノ酸の他にも、

体内にはさまざまなアミノ酸がある。

なかでもタンパク質が結合することなく

単体で存在している

遊離アミノ酸(オルニチン・シトルリン)

独自の働きが注目されている。

 

ホルモンや酵素など体内物質の働き

◆ホルモンとは?

内分泌線から分泌され、

特定の器官や組織の活動を調節する化学物質。

 

タンパク質ホルモン・・・インスリン・成長ホルモン

高分子であるため細胞内に入りにくく、

標的細胞の細胞膜表面にある受容体に結合して作用する。

 

ステロイドホルモン・・・アドレナリン・副腎皮質ホルモン・性ホルモン

標的細胞の細胞膜表面にある受容体と結合せず、

細胞内に入り込んで作用する。

 

酵素と補酵素

◆酵素とは?

消化や代謝や排泄など、体内で起こる

化学反応を促す働きをする物質。

 

酵素は単体では機能しない酵素も多く、

補助的な役割を持つ補酵素(ビタミンB・

ミネラル)サポートが必要になる。

 

酵素には、

タンパク質だけから作られるものもあるが

低分子の有機化合物が結合したものもある。

 

このような酵素のタンパク質部分を

アポ酵素と言い、

アポ酵素と補酵素が結合したものを

ホロ酵素という。

 

◆アルブミン

血清中には多くのタンパク質が存在するが

その50~65%を占めるのが、

血清アルブミンである。

 

他の血清タンパク質に比べて分子量が

小さく量が多いので、

血液の浸透圧調整、物質の保持・運搬・

各組織へのアミノ酸供給など、

重要な役割を担っている。

 

タンパク質を摂取することで、

肝臓の全細胞でアルブミンが生合成され、

血液中に分泌される。

 

一方、血液の浸透圧は

アルブミン合成能に大きな影響を与える。

 

浸透圧が高くなりすぎると、

アルブミン合成能は低下する。

 

タンパク質の代謝と必要量

肝臓では、約2,000種類の酵素が

瞬時に約500種の化学反応を起こして

タンパク質を産生する。

タンパク質食品を摂取すると

アミノ酸が消化・吸収され、

肝臓で新しいタンパク質となる。

 

そして血液に入り全身の各組織へ送られ、

細胞の材料になったり、

酵素やホルモンなどの

機能タンパク質になったりする。

 

アミノ酸の代謝で生じる窒素は、

主に尿素、尿酸、クレアチニンetcで

尿中へ排泄される。

 

一部は尿、皮膚、体毛、爪などの

成分としても排泄される。

 

アミノ酸の脱アミノ反応で生じる糖質は

エネルギー源、糖質の合成材料

として用いられる。

 

血液中のアミノ酸は

組織タンパク質の代謝で生じるアミノ酸と

肝臓から供給されるアミノ酸によって、

ほぼ一定濃度だが、

 

大量のタンパク質を摂取すると、

血中アミノ酸濃度は一時的に上昇する。

 

アミノ酸代謝プールと予備タンパク質

 

 

【アミノ酸代謝プール】

体内のアミノ酸は、特定の組織だけに

集中的に蓄えられるのではなく、

各組織に広く分布していて

必要に応じて利用される現象。

これに対して

【予備タンパク質】

必要なアミノ酸を比較的迅速に

供給することができる

血清アルブミンのようなタンパク質。

 

体内では常にタンパク質の新旧交代

活発に行われている。

 

中でも特に肝臓・腎臓・超粘膜などで

迅速に(約10日)その半分が入れ替わる。

 

筋肉・皮膚などではそれよりやや遅いが

全身的に見ると、約3週間で

半分のタンパク質が入れ替わっている。

 

タンパク質の異化と同化

人体を構成するタンパク質は絶えず

異化同化を繰り返している。

人体は、見た目の変化はなくても

常に入れ替わっている。

 

そしてそれ(異化と同化)は、常に

バランスがとれていなくてはならない。

 

タンパク質の異化が同化を上回ると、

生体恒常性を保つことができず、

健康を維持できなくなる。

 

その結果、加齢現象を促進し、

病気の発症につながる。

 

タンパク質の必要量

①植物性タンパク質・・・大豆・穀物・野菜etc
②動物性タンパク質・・・肉・魚・卵・乳製品etc

 

食品中に含まれるアミノ酸のバランスは、

動物性タンパク質の方が優れている。

 

植物性タンパク質は、

メチオニンが少ないため、

アミノ酸バランスが劣っている。

 

ココがポイント

体内のタンパク質の異化と同化が均衡して
生体の機能が維持されていくためには
毎日一定量のタンパク質の摂取が必要である。

 

成長期・妊娠・授乳期または

高強度の運動やトレーニングを行う時、

ストレスが強い時、

 

病気(がん・甲状腺機能亢進症etc)の時には

タンパク質の異化が亢進するため、

タンパク質の必要量はさらに増える。

 

脂肪や糖では

余ったものが中性脂肪になって

脂肪細胞にされるのとは異なり、

タンパク質は体内に貯蔵庫がないため

毎日欠かさず摂取しなくてはならない。

 

★一般的に体重1㎏のに対する1日の摂取量は男子→1.24g  女子→1.2g

 

発育期の乳児0才~2カ月まで3.4g、

2カ月~6カ月で2.8g、

1才~2才で3.0g

6才で2.5g

女性および授乳婦なら1.5~1.6g

 

というように、

年齢が上がるにつれて

タンパク質の必要量も増えていく。

 

※高齢者やタンパク質制限を受けている

症例においては、とくに

メオチンを含む必須アミノ酸バランスを

考慮しなければならない。

 

アミノ酸スコア

食品中の必須アミノ酸(9種類)の

含有率を示す指標のこと。

アミノ酸スコアが高い食品ほど

必須アミノ酸がバランス良く含まれ、

良質なタンパク質食品と考えられる。

 

◆食品のアミノ酸スコアの例◆

食品 アミノ酸スコア 食品 アミノ酸スコア
鶏肉 100 精白米 65
豚肉 100 玄米 68
ベーコン 95 食パン 44
カツオ 100 ゴマ 50
アジ 100 アーモンド 50
100 ブロッコリー 80
牛乳 100 トウモロコシ 74
ナチュラルチーズ 92 ニンジン 55
ヨーグルト 100 豆乳 86

 

タンパク質の特異動的作用

タンパク質を嚥下すると体温が上昇し、

身体の暖まりを感じる。

これをタンパク質の特異動的作用という。

 

摂取されたタンパク質は、

一種のシグナル物質としての役割を持っており

生体に対して代謝の準備信号を送っている。

 

大豆たんぱく質

日本人の食生活では

古くから大豆食品

重要なタンパク源となっている。

 

日本食日本人の長寿についての研究が進み、

大豆の健康効果が

世界から注目を集めるようになり、

大豆タンパク質の特性が解明されてきた。

 

大豆タンパク質には

血清コレステロール改善作用があり、

高コレステロール血症例において、

LDLコレステロール値低下と

LDLコレステロール値の上昇による

コレステロール値改善が認められている。

 

ただし、大豆タンパク質には

メチオニンが少ないので、

メオチンが豊富な動物性タンパク質食品

同時摂取することが望ましい。

 

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ゆい

私は中学の頃から約8年間、倦怠感に悩まされてきました。 高校卒業後、体中にアトピーが出ました。敏感肌だったので最初はあせもかと思っていましたがどんどんひどくなり夜も痒くて寝れず、日中は仕事があるので我慢していました。小麦粉アレルギーかもと、グルテンフリー(小麦粉を抜くこと)を始めると、そのアトピーは引き始め少し楽になりました。これがきっかけで遅延型アレルギーを調べ始めました。私はリーキーガット症候群と分かりました。サプリメントでだいぶ良くなりましたが今も完治を目指して治療中です。同じような症状で悩んでいる方にと、このブログを始めました。

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